貞照寺の側面に埋め込まれてある彫刻壁画です。




養母病魔に臨み十二歳の貞女酷寒の深夜、水垢離を取り尊號を念珠して、
其快癒を不動明王に縋るや霊験忽ち難病を治す。




成田遠来の途、貞女を乗せし奔馬、野犬の群れに襲われて絶壁に追い詰められし時、
不動明王を念ずれば不思議やアワヤと云う瞬間後退して難を免がる。




貞女十九歳の時箱根山中の宵闇悪漢に囲まれ落花狼藉と思われし時、
不動明王の威徳忽然一名の普化僧を現わし怪漢を追い給う。




貞女廿一歳、上野池の端、武徳会騎馬乗?引きに出場、柳に?懸りて
落馬し馬の下敷きとなる。されど佛光無量、遂に微傷さえ負わず。




貞女の夫、音二郎。鹿を中原に争って落つ、憤然悽愴たる相模灘に
二間餘の小舟にて冒航す。仏威廣大辛じて下田へ漂着す。




貞女夫妻志州島羽沖舟行中海驢嶋付近にて海驢の群に襲わる
専念不動明王を念祈して防げば怪獣仏威に打たれて去る。





貞女卅一歳の春。一座欧州へ興行談纏まり、其旅費を受取り奔走準備中、
神戸にて俥内に遺失したれど日頃の祈念に恙なく手中に戻りたり。




大正十三年頃、木曽川を横断してダムを築き水力電気を起さんとする
福沢桃介氏の爲め一身犠牲の念願を籠め、空前の難工事を完成せしむ。